上海市内医療情報
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2000年11月23日〜29日 2000年11月26日(日) 前日 翌日 上海にいるとあまり意識しない事だけれど、中国には56の少数民族が存在している。一般に中国人といった場合は、漢民族とそして、これらの少数民族も含んでいる事を忘れてはいけないだろう。 中央民族大学に隣接する通りに「魏公村路」と呼ばれる通りがある。通称この通りは「新疆街」と呼ばれている。時代をさかのぼること、元の時代から新疆ウイグル自治区のウイグル人たちが住みだして、いつのまにかウイグル人のコミュニティができていった通りだ。この「新疆街」や新疆のウイグル人については、近くの中国人からはあまり評判がよくない。なぜなら、ウイグルの人たちが度々、歩いている人の金品を奪い取ったり、暴力事件を起こしたりと、悪い印象を与えてしまっているからだ。いつのまにかこの「新疆街」は治安の悪い通りとして有名になり、普通の中国人は危険だと嫌い、避けるようになったということだ。 翌日へ
この「新疆街」が今年初め、北京市政府により「再開発地域」に指定された。煉瓦造りの通りも、ほとんどが取り壊されていって、今では本来の姿を見ることはできない。ほぼ「新疆街」はなくなりつつある。北京市政府の「再開発」の意味は果たして何なのだろうか?政府の見解で見れば、治安の悪い地域を取り壊し、今後の市の治安向上と発展に役立てるものであると理解できる。多くの中国人が怖がって、近づかない場所であるから。しかし、これまでここに住んでいた新疆ウイグルの人々にとっては、長年存在してきた民族のコミュニティが壊され、廃墟と化してしまうのである。「再開発」はこの「新疆街」だけではなく、北京市内の他の地域でも進められている。ただし、この「新疆街」に関しては、特別視する必要があると思う。本来、少数民族というのは立場が弱く、守られる立場になければならないはずだ。長年「新疆街」で暮らしてきた少数民族の新疆ウイグル人たちにとって、この場所が再開発地域に指定される事は、行き場を失う事に他ならないのである。実際、新疆街を歩いた時に再開発に反対する落書きが塀に書かれてあり、それをペンキで塗りなおした後も目にした。日本人にとって民族問題を理解するのは実に難しい。理解したつもりであっても、彼らの本当の心の奥の気持ちを理解できているわけではないから。 中国を構成する56の少数民族、彼らは漢民族が用いる漢字とは別にそれぞれの言葉や文字を持っている。少数民族が一般の中国人と結婚する事で、本来の民族の言葉を使わないようになれば、彼等の下の世代は少数民族の言葉や文字を理解できなくなる危険性もあるのだ。北京中央民族大学に留学する日本人の友人は、普段上海にいると考える事のない民族問題について、様々なことを気づかせてくれた。 |
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