・ミッドタウン1 |
ニューヨークはミュージカルの本場らしい。毎日、ブロードウェイの30を超える劇場でいろんなミュージカルが上演されていて、どこの劇場もちゃんと観客を動員しているのだからすごいことだと思う。僕はミュージカルについて無知だし、興味は無かったが、せっかくだから観てみることにした。 宿泊していたホテル1階のサービスセンターでミュージカルのチケットの手配をお願いすることにした。何を観ようか?美女と野獣、ライオン・キング、オペラ座の怪人、この他にもいろいろある。初めて観るのなら、ストーリーが分かりやすい方がいいと思い、美女と野獣をと思ったが、残念ながら売り切れ。それであれば、ちょっと英語に自信は無いが、オペラ座の怪人にした。もちろん、事前にオペラ座の怪人のストーリーを予習しておくことを忘れなかった。 開演は夜8時、7時30分にMAJESTIC THEATREに到着すると、すでに劇場の入り口へ向かって長い行列ができていた。よく見ると他の劇場でも同じように行列でいっぱいだ。こんなにたくさんの人が毎晩ミュージカルを観ているんだ。ニューヨークってすごいわ。
劇場に入ると、係りの人にチケットを見せて、指示されるがままに席へ着く。勝手に席へ座ったら、「ちゃんと私に見せてから座るように!」と言われてしまった。ミュージカルの席は、MAJESTIC THEATREの場合、前列から「オーケストラ席」、「メザニン席」、「バルコニー席」に分かれている。僕はホテルの人の勧めでメザニン席のチケットを買っていた。
席につき開演を待つ間、周りのお客さんを見渡す。普段着の人や思いっきりおしゃれをして来ている人などさまざまで面白い。僕はというとジーンズに襟付きのシャツに黒のジャケット。せめてもの正装だ。あとから思ったのだが、ジャケットを持ってきて正解だった。劇場内はクーラーがかなり聞いていて寒いのだ。外が暑いからと半袖で来ると、えらいことになっていた。 前方の天井にシャンデリアがぶらさがっている。あぁ、あれがストーリーの中で落ちてくるシャンデリアか・・・などと想像を膨らませる。
いよいよ開演。使われる英語が難しくてあまり聞き取れなかったが、事前にストーリーを予習していたので流れは理解できた。何といっても役者さんの顔の表情や歌唱力、ダンス、そしてオーケストラ演奏とすべてが完璧で素晴らしい、最高だ! 1幕が終わるとしばらく休憩に入る。劇場のバーで軽食をとることができるので、僕はカプチーノを注文した。バーの女性スタッフが最高の笑顔で What can I do for you? 「ご注文はいかがなさいますか?」 と聞いてくるのだが、まるで自分が映画の世界にいるようでうっとりしてしまう。すごくこのバーのムードがいいんだ。
2幕が始まり、徐々にクライマックス、フィナーレに近づくのだが、いつしか僕は夢中になっていた。何てたって、役者の声がすごく迫力があって、ずっしりとくる。 公演が終わると役者の紹介が始まった。観客から惜しみない拍手が役者に送られる。最後に怪人ファントム役の役者が紹介されると、皆立ち上がってスタンディングオーベーションだ。僕も周りの人の真似をして、立ち上がり、疲れるくらい拍手を送り続けた。
ニューヨークへ来る前はミュージカルなんて・・・と思っていたが、ミュージカルは最高の舞台芸術だと見直した。なぜなら、歌、ダンス、オーケストラ、照明、すべてが完璧じゃないと観客を魅了することはできないからだ。毎日、ブロードウェイの至る所でこうしていろんなミュージカルが上演されている。ニューヨークは本当に芸術の街だなと思った。 |
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